~3日目~         






2年前にも訪れた熱塩温泉。直後に日中線廃止代替バスが廃止になり、もう来ることはないと思っていたのですが・・まさか自転車で 来ることになるとは。

せっかくなので旧日中線熱塩駅にちょっとだけ立ち寄ります。森の中のメルヘンな駅舎です。

今日のルート、ここから先県境を越え米沢までは、日中線もその一部であった野岩羽線の未成線区間を行きます。果たして夢破れた区間とは どんな道なのでしょうか?

その前にちょっと寄り道。熱塩温泉から少し逸れたところの三ノ倉高原(三ノ倉スキー場)にひまわり畑があるというので行ってみることに。

当然高原へ向かうのでアップが続きます。

早速ひまわり畑が。これは期待できそうですね。

駐車場に自転車を置き、さらに登っていきます。

すると丘の上には一面ひまわり畑が!広大なスキー場のゲレンデが、なんと200万本ものひまわりで覆いつくされています。

満開の時期は過ぎたのか、あとあまり太陽が出ていないこともあり下向きなひまわりも多いですが、それでもなかなか壮観です。





会津盆地を一望しながら観賞。標高としては東京スカイツリーよりも少し上くらいだそうです。なお例年開花時期は8月中旬~9月上旬となっています。

10時過ぎにひまわり畑を出発。
今日のプランは県境の峠を越え米沢へ出て、鉄道でも有名な板谷峠を通り再び福島に入り、飯坂温泉へ向かいます。 まずは国道121号大峠道路を北上して米沢へ。早くも山越えの民家皆無な道です。

実はこの大峠道路、全通は2010年とつい最近。5kmほど東を通っていた旧国道121号米沢街道は九十九折の峠越えの道で冬季閉鎖となる難所で、 現在は廃道となっています。新道は中小のトンネルと橋梁が連続する高規格な道。



日中ダムが見下ろせます。割と緩やかな勾配で上りやすいです。

11:00
大峠トンネル前に到着。旧道では難所であった大峠も全長3940mという長いトンネルでパスできます。大峠トンネル自体は1992年に開通・供用開始しており、 福島側取付道路の開通を以って全線開通となっています。確かにここまでの道もトンネルと橋梁の連続で難工事であったことが想像できます。

一方で長大トンネルは自転車にとってはある意味難所。響き渡る爆音と排ガスを浴びながら薄暗いトンネルをすばやく駆け抜ける必要があります。 車列が途切れたのを見計らって、スタート!

幸い元々交通量が少なく、福島側からはほぼ下り勾配ということもあり車に追いつかれることなく約8分でトンネルをクリア、山形県入り~

11:20    33km
しばらく下った後、道の駅田沢で休憩。道路から一歩逸れれば人跡未踏な地が広がる大峠道路、おそらく野岩羽線の未成線区間は街道でもある 旧道沿いを想定していたものと思われます。それにしてもこの高規格な大峠道路ですら交通量が少ないあたり、そもそも会津と米沢にさほどの移動需要、 人の交流は存在しないのでは?

さて米沢市外を抜け、232号へ。次は板谷峠へ挑みます。

12:30
しばらくは奥羽本線と交錯しながら進みます。関根駅は米沢の隣駅ですが既にローカルムード。

板谷峠は福島~山形県境に立ちはだかる鉄道の難所として、古くから知られています。新幹線も通り大峠よりもよっぽど需要も人の往来もあるルートですが、 板谷峠を越える道路の方はというと、ご覧のような裏道の雰囲気。
実は明治時代に開通した国道が北方の栗子峠で県境を越えることから、板谷峠を通るこの232号は 米沢街道を名乗ってはいるもののその機能は取って代わられ、実質マイナーな道になっているのです。板谷峠といえば一般的には鉄道の峠を指すことが多い所以。

奥羽本線は山形新幹線も通ります。新幹線の軌間の広い踏切を渡るというのもなかなかレアです。

さていつもツーリングの計画の際にはルートラボで勾配など下調べをしておくのですが、なんとこの先峠越えの区間はルートラボ未収録?のため調べられず。 おいおい街道ですよ・・?まあいくら難所とはいえ鉄道でも越える峠なので、そこまでではないと踏んで未知なる峠越えに挑戦です。



ヒェ~キツい!この道はヤバイです!!
勾配はキツいし路面も荒れ果ててる、暑いわアブは寄ってくるわ、途中でドリンクも飲み干してしまい悶絶しながら上る 羽目に。。最悪パンクだけは勘弁!

や、やっと峠に着いた~~。。所によってはダンシングすると前輪が浮き上がりそうになる急勾配でしたが、止まるとアブに襲われるので意地でも足を付かずに 上りきりました。道中写真を撮る余裕もなかったです。

13:30    66km
分水嶺の立て札だけで他にはなにもなし。眺望もなし。いや~しかし色々な意味で本当にキツい峠でした。道幅も狭く路面は荒れており、冬季はおろか大雨の後でも通行止めになると 思われるので、クルマでも通らないほうがいいです。

水分もないのでさっさと下ります。うって変わって福島側はちゃんと舗装されています。

峠から少し下ったところで脇道へ。ここまで来たなら峠駅へ行っとかないと。

13:50    70km
脇道に入ってから下ったところに駅がありました。戻る時はまた上らなきゃいけないと思うと・・。

独特の雰囲気の駅ですね。元スイッチバックがあったスノーシェードの中を通っていきます。スイッチバックは山形新幹線開業・普通列車電車化を機に解消され現在は行われていません。
踏切が鳴り、ちょうど新幹線が通過していきました。


※マウスオンで写真が変わります



その名もズバリ「峠」駅。碓氷峠亡き今、板谷峠はJR幹線一の急勾配区間。そのサミットに位置する駅なわけですから、まさに名実共に峠の駅です。その駅名のインパクトに一度は降り立ってみたいと思いつつも、 新幹線は全列車通過、普通列車も6往復/日しか通らない秘境駅、列車旅で途中下車するのはなかなか大変。こうして自転車旅という形で念願の訪問が叶って満足です。
再び踏切が鳴り、今度は下りの新幹線が低速で通過。通過時刻は調べてませんでしたが、ちょうどよく見ることができてラッキーです。 東京でも見かける新幹線を、こんな山奥の辺鄙な駅で見送るのも変な感じです。


※マウスオンで写真が変わります

さて峠の茶屋で休憩。実はこちらのお店、峠駅の名物「峠の力餅」を販売しています。しかも今では珍しく、普通列車が駅に到着するたびホームで立ち売りしていることでも有名。私もせっかくなのでお店で直接 一折購入しました。

坂を上り、先ほどの分岐へ。計画段階ではあわよくばさらに上った先の姥湯温泉まで行こうと思っていたのですが、体力的に無理なので即効却下です。。

しばし下っていくと、小さな集落が現れ、脇に板谷駅が見えてきます。

振り返って撮影。こちらも現在は使われなくなったスイッチバック施設。板谷峠は福島側から赤岩・板谷・峠・大沢となんと4連続でスイッチバック駅が存在していました。 よく見ると線路の右側にホームの跡らしきものが見えます。

ログハウス風の待合室。もちろん無人駅です。スイッチバック廃止に伴いスノーシェード内にホームが移転されたそうで、構内のポイントがその名残。



待合室前から峠駅方向を望む。右の複線が本線で、手前のスイッチバック線には車止めがしてあります。左の歩道を進むと232号へ戻ります。

14:40
再び下って国道13号に合流。ようやく板谷峠をクリアしました。聞きしに勝る難所、まさに山越えの区間でした。さすが4連続スイッチバックの最急勾配、伊達じゃないです。今でこそ電車は難なく越えていきますが、 蒸気機関車時代はさぞかし苦労が多かったことでしょう。

R13に入ってすぐ福島県入りします。・・ん?さっきの板谷峠で県境を越えたのでは??
実は地図で見ると山形/福島県境は栗子峠となっており、板谷峠、そしてそれより東側の板谷駅も完全に山形県となっているのです。ツーリングマップルのコメントにも 「板谷は山形県内の集落だが中央分水嶺の東側 太平洋側にある」と書かれています。
というわけで県境の峠でもなく車道のほうは今では廃道の様相を呈する板谷峠は、今日もやっぱり「鉄道の難所」として語られているのです。

国境の・・ではなく国境を過ぎてから長いトンネルを越えます。坑口に建物が被さっていますが、トンネル換気施設らしいです。さすがにこの道は交通量も多いのでヒヤヒヤ。

15:20    96km
延々下った後、ゴールの飯坂温泉に無事到着!福島市街には入らず、ここから輪行します。疲れましたがその分やりきった感も十分、もう満足です。。温泉に入ってリフレッシュしましょう。

駅からすぐの共同浴場「波来湯」に行きます。本当は先に「鯖湖湯」に辿り着いたのですが、聞いたところ蛇口がないらしく体を洗うのに不向きのため、設備の整っているこちらにやってきました。 なお飯坂温泉の湯はかなり熱めなのでご注意を。こちら「波来湯」はぬる湯も備わっています。

福島交通飯坂線で福島へ、そこからは東北本線の乗り継ぎで帰宅しました。途中須賀川あたりでは花火大会があるらしく大混雑。

宇都宮線グリーン車車内で峠の力餅をいただく。なんだかんだで合宿がぬるく思えるほど3日目はキツかったですね。。でも大自然の中を走るのはやっぱりいいものです。ひょっとして 力餅を食べれば板谷峠の難所も楽に越せる・・かも?