〜2日目〜         








六十里越に挑む2日目。旧田子倉駅を通過する列車の写真を撮りたいので、早めの7時前に出発。この先は只見駅まで線路と並走する区間が多くなります。





会津水沼駅にふらっと立ち寄ります。

待合室は新しめで軌道も一部コンクリート枕木になっています。ホームのアスファルトも比較的新しい感じですが、点字ブロックはなく看板は古いままと中途半端な印象。

駅を出てすぐ水沼橋から只見線の列車を撮影。会津若松行です。

雑木林の中を列車が通過。本数が少ないので撮影するなら入念な下調べと計画が必要です。

入念な下調べと計画をした結果、本当は橋を渡った先(会津川口方)のこちらで撮影する予定だったんですが、、ちょっと間に合いませんでしたね。でも案外電線や木々に遮られるのでさっきの写真で 良かったかも?

只見川沿いを快走。曇り空なのが残念。
会津川口を過ぎ、只見線の不通区間へ入ります。本名ダムに差し掛かる頃、橋台の遺構のようなものが。


※マウスオンで写真が変わります

東北電力の本名ダム。堤体の上を通って対岸へ渡ります。

国道が提体上を通るというのもかなり珍しいのではないでしょうか。なんて呑気なことを言っていると・・
ストップ!下流側に只見線の線路が!
実はこれは4年前の新潟・福島豪雨で被害にあった第6只見川橋梁の一部。鉄路が寸断された災害の爪痕を目の当たりにすると、 言葉も出なくなってしまいます・・。自治体側は鉄道での復旧を要望していますが、復旧費用が嵩むことと、元々赤字路線であることからJRは鉄道での復旧に難色を示しており、現状では残された鉄道施設も 放置状態となっています。


※マウスオンで写真が変わります

あの高さの橋が流失するなんて信じられません。。上流ダムの堆砂が進行していて洪水調節機能が低くなっていたことや、放流開始が遅れたことにより凄まじい流量となったなどここまで被害が拡大したのは 人災の側面があるとも言われています。

こうして穏やかそのものに見える自然も、時に猛威を振るうことを忘れてはいけません。



8:05     23km
会津横田駅の看板があったので立ち寄ってみます。

これは・・

完全に廃線跡の様相。不通から4年、あまりにも時間が経ち過ぎました。復旧には橋梁の再建のみならず全区間の再整備が必要と思われます。こうなってはもはや鉄路での復旧は厳しいんじゃないかと。。



引き続き、只見川と線路に沿った道が続きます。









会津塩沢を過ぎたあたりの橋からは、対岸に第8只見川橋梁が見渡せます。列車が走っていた頃は有名撮影地だったようで、「橋上での駐停車するな」と看板があります。

確かに背景の木々も水面に反射し四季折々の写真が撮れそうですね。一見大きな損傷は無さそうですが、その立地が災いしてか復旧には4年の工期が掛かるとみられているそうです。

なだらかな道が続く快走ルート。
一気に晴れてきました。只見線の高架がきれいに横断していますが、このまま被災区間が廃線になれば、遺構になってしまいます・・。


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9:00      41km
只見駅到着〜。不通区間はここまでとなります。只見線の中心的な駅ですが、駅周辺は建物も疎ら。


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集落を過ぎれば人家皆無。それもそのはず、この先国道も冬期閉鎖となる日本有数の豪雪地帯、六十里越に差し掛かります。

只見ダムに沿って国道は続いています。

湖畔に佇む只見展示館。電源開発が運営しています。

只見川とはうってかわって、鏡のように反射する只見ダム。清々しいですね。

只見ダムの上流にある田子倉発電所への入口を過ぎてからは、本格的な峠越えの道になります。しかしまだ峠の序盤も序盤だというのにお腹が空いてきた。。





九十九折でグイグイ高度を上げていきます。紅葉もあり交通量も少なくいい道なのですが、エネルギー不足でスピードが上がらず・・。旧田子倉駅付近で列車の写真を 収めたかったのですが、時間的に厳しいので諦めます。

スノーシェッドの役割なのか?謎の随道を抜けると・・

9:40
田子倉ダム提体上まで上がってきました。田子倉ダムは最大出力で第2位、総貯水量で第3位という日本有数の巨大ダム。その巨大さたるや放流による下流への影響を軽減するために先ほどの 只見ダムが設けられたというほど。



只見ダムを見下ろすことができます。しかし九十九折で一気に標高を稼いできましたね。



田子倉湖はイワナ釣りのメッカとしても知られ、レジャースポットとなっています。豊富な雪解け水と急峻な地形が水力発電に最適と、只見川には大小いくつものダムが造られましたが、 洪水調節機能も併せ持つ人工物がこれだけありながらも水害を防げなかったことが残念でなりません。

只見ダムのように反射はしませんが、蒼々とした水面が美しいです。



山の木々は様々な色合いを見せてくれます。峠までの道のりはまだまだ続きます。

いよいよエネルギー切れが深刻に・・。もうヘトヘトでスピードも1ケタ台しか出ません。昨日道の駅で食料を調達できなかったのが痛いです。

ちょっと走っては休憩の繰り返し。





少し下ると只見線の線路が見えてきました!只見線の六十里越区間はほとんどトンネルなので、明かり区間は貴重です。本当は列車の通過時刻に間に合わせたかったんですが・・30分ほどオーバー しています。4往復/日しかないのでさすがに次の列車を待つことはできず。

あそこが旧田子倉駅ですかね。もともと冬期通過の臨時駅でしたが、2年前の3月改正で廃止になってしまいました。

10:20     54km
さきほどの地点からすぐに旧田子倉駅駅舎に着きました。プレハブですが結構大きな駅舎です。目の前を横切る国道252号は例年11月〜5月頃まで約半年間も冬期通行止めになるのに対し、 田子倉駅の通過扱いは12月〜3月と比較的短く、クルマでは行けないが鉄道では来れるという秘境駅シーズンがあったそうです。

入口は当然塞がれていますが、板に節穴が空いていたので覗いてみますw
駅舎のように見えたプレハブは只のホームへ降りる階段の雪よけだったみたいで、改札はおろか待合室もなかったようです。この時ちょうど崖側を下りて内部へ侵入しようとする不届き者がいましたが、 危険ですし廃駅とはいえ不法侵入にあたりますよ。

それよりもういい加減力尽きてしまい、何か食料はないかとカバンを漁っても醤油の小袋しか出てこず。
・・・「醤油ってどれくらいカロリーあるんだろう?」
とか考えるくらいいよいよ困り果てていたところ、 車で来た夫妻の方に話しかけられ、事情を話すとなんと食べ物を恵んで下さることに!これには本当に助かりました。お話しすると娘さんが私の住んでいるところの隣の市に住んでいるそうで、 なにかの縁ってあるもんですね。福島ナンバーの方でしたが、人も温かく自然も豊かで福島のこと好きです!

よりによってここは廃止になった駅の前。輪行もできず続行不能も覚悟していたので、非常に有難かったです。今度から非常食を携帯するようにします・・。
さて体力回復し心も暖まり無事に再出発!このあたりは道が九十九折になっているので、少し進むと田子倉駅を反対側から眺めることが出来ます。田子倉駅の前後は長大トンネルになっているので この先は峠を越えるまでお目にかかれません。



段々とスノーシェッドも多く、そして長くなってきました。これだけ設置されていながらも冬期通行止めになるのですから、その豪雪ぶりが窺えます。写真は上ってきた只見方向です。



紅葉と青空のコントラストが美しいですね。夏に天気がイマイチの中続行せず中止にしてよかったです。紅葉は例年より1週間ほど早いこともあり、標高の高いところでは色づきは濃く、 落葉も始まっているようです。



峠の碑!ついに上りきった!?かと思いきや「六十里越峠開道記念碑」とあり、まだ上り坂は続きます・・。なんでこんな坂の途中の路肩に造ったのか? なお「六十里越」とは六里の道が六十里に思えるほど険しかったことからだそうです。

一応車2台分くらいのスペースがあり、眼下に田子倉湖が望めます。苦労の甲斐あってだいぶ上ってきましたね。



写真を撮っているとおじさんに話しかけられ、曰く今年の紅葉は冷夏の影響かあまり綺麗じゃないそうです。それならまた訪れて是非もっと素晴らしい姿を見てみたいですね。でも 自転車ではもういいかな。。



この先の長いスノーシェッドが見えます。とりあえず勾配はキツくなさそう(笑)

山の斜面にへばりつくような国道252号。美しい自然を楽しめる反面、崩落や落石、雪崩の危険もあります。鉄道ではこの区間はほとんどがトンネルなのに対し、国道が半年間不通になるにも 関わらず新しくトンネルなどで付け替えないということは、おそらくこの道は観光道路としての側面が強いのでしょう。

11:20      61.8km
先ほどのスノーシェッドからそのままトンネルに入り、ついに峠越え、新潟県入りを果たしました!!只見から20km、本当に六里が六十里と感じるほどの険しい道のりでした。あの時田子倉駅で 助けてもらえなかったらここまで到達するのは不可能でしたよ。

こちらが福島方向、六十里越トンネルの坑口です。こうして上りきってみると達成感もひとしおです。

峠のほうは眺望の開けた所はない様なので、早速下っていきます。始めのうちはヘアピンカーブでグイグイ下っていきます。



しばらく下ると只見線の線路が!しばらくぶりの対面です。ここからは平行して見え隠れしながらさらに下っていきます。








峠越えの道からだいぶ里山な景色に変わってきました。只見線の撮影によさそうなスポットもいくつかありますが、列車の本数が少ないので偶然合うってのは中々ないです。


※マウスオンで写真が変わります

12:15      82km
国道沿いの道の駅入広瀬で昼食に。六十里越区間は相当補給スポットが限られるので要注意です。

池に面した雰囲気のいい道の駅です。しかしここまで下るだけでも結構長かった〜

ごっつお鍋五目めしセットをいただきます。鍋は味噌仕立てのきのこ汁でした。

お腹も満たして快調に進みます。あれが越えてきた山々かな?

13:45     103km
小出の辺りでついに国道252号と別れ、国道17号に入るも交通量が多いので県道70号へ。道の駅ゆのたにで小休憩。

そのまま国道291号で南下します。多少のアップダウンはありますが17号より空いていて走りやすいです。

この先どこをゴールとするかは体力次第。浦佐か六日町かな?

15:15
六日町駅前までやってきました。体力的には調子がいいのでもう少しいけそうですが、この先は17号で進むしかないのでどうしようか悩む。。

結局もう少し頑張ってみることに。大型車が多いですが路肩の広いところが多く意外と走りやすいです。

15:40     137km
国道沿いの道の駅南魚沼で休憩。ここまで来たら越後湯沢まで行っちゃいますか!その前にエネルギー補給を。

まだ新しい道の駅のようで食堂もオシャレ。丼はコシヒカリを使った米麺で、しっかりとコシがありました。ごはんはもちろん魚沼産コシヒカリです。

物産コーナーも充実していたので色々買って行きたかったんですが、自転車旅だと中々そうもいかないのが玉に瑕。
さて越後湯沢手前で最後の最後に上り坂が待ち構えています。 これをクリアすればゴールはすぐそこ!

心して挑んだ甲斐あってか、勾配はキツくなく思ったより楽にクリア。登坂車線なんて仰々しくありましたけど積雪時の大型車用ですかね。

16:50     147km
越後湯沢温泉で汗を流してお仕舞いにしたいと思います。ちょっと道に迷いましたが町営の外湯駒子の湯へ。

こうして無事に越後湯沢駅に到着。内容の濃い2日目でしたね。只見の山奥で悶えていた頃はここまで辿り着く自分の姿が想像できませんでした。年々体力の衰えで 山岳ツーリングが厳しくなってきていますが、やっぱり山には素晴らしい景色と上りきった時の他に代えがたい達成感があります。それらを得るために、もう少し“楽に” 山に挑めるよう日頃から練習しなきゃと思った次第です。
さて越後湯沢といえばぽんしゅ館、お土産買ったり利き酒したり爆弾おにぎり食べたり・・と楽しみにしていたのですが、なんと18時で閉店。。 どうやらスキーシーズン以外は早く閉まるみたいです。輪行準備完了した時点で既に18時でした・・。仕方なく?まだ開いていたお店でへぎそばをいただきます。ところが そばも天ぷらも思いがけず大変クオリティの高い品。おかげで満足できました。


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えきねっとトクだ値を使い新幹線で帰宅。これで今シーズンは終了・・ってことで日々の練習は春になってから??